前略、セチガラ山より。

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映画「 ルイーサ 」じんわりと物悲しい、哀愁のブエノスアイレス


映画『ルイーサ』予告編 - YouTube

 

来年で定年を迎えるというのに、ある日突然職を失った。退職金どころか、ここ数ヶ月の給料も滞っている。

唯一の家族だった猫のティナも突然死んでしまった。60歳のルイーザは、それこそふいに何もかもを失った。ティナを火葬するには大金が必要だったが、彼女にそんな金はない。

決まり切ったそれまでの生活に埋没していたルイーザ。夫と子どもを亡くしていたことが彼女をルーチンに沈ませたのかもしれない。職を失するまで、彼女は地下鉄にさえ乗ったことがなかった。

経済破綻したアルゼンチンは多くの貧困層を抱えている。映画の中でも、電車や地下鉄の端で物乞いする姿が描かれている。60歳にして職を失ったルイーサも、やむにやまれずそこに身を投じた。

映画はときにコミカルに描かれているものの、ルイーサの状況も社会情勢もとても暗い。物語は最終的に糸がゆるんでほっこりするような演出で終わる。それでもなお、この先にある悲観的な現実を感じずにはいられない。

ルイーサは、ドン底から立ち上がらない。ドン底で顔を上げ、光を見たに過ぎない。それでもなお、それがコミカルでハッピーに見えるのは映画としての救いだが、物語は救えない哀しい現実とひも付いている。哀愁のタンゴは音楽だけでなく、映画にも通じているのかもしれない。

 

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